2011年06月10日

東日本大震災チャリティー特別講演会inかごしま 〜第二部〜

施設における災害対策、被災時の行動と要支援者への効果的な支援とは?
〜災害体験から学んだこと、今後のの支援に必要なこと〜

講師:小山 剛氏(高齢者総合ケアセンターこぶし 総合施設長・NPO法人災害福祉広域支援ネットワーク サンダーバード代表)

※この講演は話が面白く、資料丸写しよりメモしたことを加えて紹介した方が面白いと思うので、メモした中と資料から。

 ちなみにこの講演会のニュースがこちらで見られます。


・日本という国は自然災害(地震、津波、台風、洪水等)、人為災害(火災、飛行機や列車の大事故)、特殊災害(NBC災害、N=核汚染、C=化学剤、B=生物剤)を経験している、世界的にも珍しい先進国である(化学、生物はオウム真理教一連の事件)。


・毎年の北陸の雪は災害じゃないの?と思うんですけど...


・災害弱者。CWAPと言われている。
C:子供
W:女性
A:高齢者
P:病人、障害者
二次的な災害弱者は、以上の条件からかけ離れている中高年の男性かもしれない。


・今回の東日本大震災の特徴として・・・
1.地震、津波、核汚染が一緒にやってきた
2.明確に被災した県が9県。このような広範囲の災害は前代未聞。想定外。
3.それ故に、援助に対しての差が大きいことも特徴。岩手、仙台には援助がかなり来ているが、未だに福島は放っておかれている。援助が殆ど来ていない現状(核汚染の影響もあるにせよ、格差があることもまた事実)。


・普通に町があり、生活もあったはずなのに・・・原爆も大空襲も経験はしてないけれど、こんな状況だったのでは、と想像してしまいます。


・海岸沿いにある家...液状化や屋根からの崩れ落ちの危険性。


・○○台、と名の付いたところが地震でやられる傾向にあった。少なくとも新潟県ではそうです。


・自施設「こぶし園」が中越大震災で被災したケースの紹介。そこで痛感したことについて。
1.火災対応の緊急連絡網は、この時は全く役には立たなかった。連絡網というのは既に過去の遺物でしかない。それよりメールでの一斉配信の方がよほど役に立つ。昔からやっていたから、でそのまま惰性で行っていることも見直すべきであろう。
2.防災訓練も確かに行っていたが、これも全然役に立っていない。防災訓練というのは、一種の「運動会」に過ぎない。
3.結局役に立ったのは「防災マニュアル」とかいうものではなく、「介護従事者としての職業倫理」であった。スタッフが集まり、法人全体を50名の夜勤スタッフで支えた。
4.災害発生時には、今そのときの人間で何が何処まで出来るのか、しかありません。


・デイサービス休んで避難支援したとしても、その間の収入は全くない。補填する事も出来ない。もし収入のことを考えるのであれば、福祉避難所協定を結ばなければならない。

・被災して学んだこと
☆広域連携の必要性...給水車や消防車などの救援隊が地震と同時に広域から動き出すように、介護においても行政間の広域連携が不可欠。具体的な施設間の事前協定。小規模施設は認可時に緊急の受け入れ施設協定を確認、指導しておく。
☆協力者の拠点整備...大手企業からのスポンサー。ユニット住宅やプレハブ、キャンピングカーなどを用意し、そこに支援者が暮らしつつ支援していく。手弁当で自己完結できる、自衛隊のような体制。
☆施設の意識転換...元の生活に戻るための支援。災害は介護の崩壊ではなく、生活環境の崩壊である。前の状態に戻す視点が重要。福祉従事者は抱え込む救済には慣れているが、自立生活を側面から支える、と言う視点が不足している。地域社会の支援センターとして、避難所や個々の住宅、そして仮設住宅生活者の支援にも責任を持つべし。
☆避難所のあり方...避難所で認知症の方が暮らすのは無理。そもそも健常者でさえ早く自宅に戻ろうとするのに。認知症の方の環境が激変すれば精神的なダメージを受けることも考えられる。早く元の生活に、と言うのはそういうことも含めて考えるべし。
☆福祉避難所
☆町の復興も同じ仕組み


・介護の基本は人の生活支援にあり、災害にはリンクしていない。つまり平時の介護体制が24時間365日体制でないと役に立たない!


・共助、互助>>>公助、であったことは震災で証明されている。


・いかに早く避難時期を知るか、そしていかに早くその場から離れられるか?がキーワード。つまり、地域社会が支えなければ助からない。


・公的な支援体制は広域連携が必要ですが、自主避難・自主防災は小地域単位であることが重要なポイント。いつでも知っている人が近くにいないと役に立ちません。


・発災直後の生活は隣近所で2〜3日待てば何とかなります。支え合うことは知り合いであるか無いかではなく、住民としての責任である。


・サンダーバードが「サポートセンター」を作った理由
...緊急的な避難所である体育館などから、自宅復帰までの間生活拠点となる仮設住宅においても、24時間365日連続するケア体制が保証されないと、関連性のない場所に移動させられてしまう(阪神大震災でもこのケースが非常に多く見られた)ため、これを防ぐこと。また、復帰までの意欲を支え続け、健康状態を維持するために「集まる場所」において「専門職が関わり続ける」事は必要である。


・特に今回被災地では、医療福祉関係の従事者が失職している現状がある(廃止した社会福祉法人も多く存在)。技術を持った方々が仮設のサポートセンターで働いていただき、復興した際には引き続き働いて貰う、と言う体制が出来る。


・負担を背負った理由は社会福祉法人の使命(MISSION)。
☆一般社会の事業目標:Costomer Satisfaction(顧客満足)
☆社会法人は上に加えて、Community Satisfaction(地域社会の満足)を目指さなければならない。


・何のために社会福祉法人という所は非課税なんでしょうか?


・専門職の支援、外部支援体制


・介護災害を防ぐ...既存の施設自体が介護災害者を収容する避難所だあったと言うことで、当然それまでの暮らしに戻ること、またこれを支える仕組みを地域社会の中に作ることが私たちの仕事だ、と考えていましたので、24時間365日連続する支援体制を構築してきました。災害時もその体制が必要だと言うことでサポートセンターを設置し、地域社会の再生時にも同様の仕組みが必要だ、と言う事です。


・NPO法人 災害福祉広域支援ネットワーク サンダーバードの目的
1.災害現場に状況確認と支援指示を行う支援センターを送り込むこと(サンダーバード1号)
2.災害と同時に介護スタッフを派遣すること
3.派遣した人の食と住居を確保すること(サンダーバード2号)
4.活動拠点をパッケージで送り込むこと(サンダーバード3号)


・BCP(Business Continuity Plan)とは?...自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急措置に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと。


・BCPの必要資源と課題
1.職員...指揮体制の確保、職員の確保と外部支援
2.施設・設備・資機材...事前チェック、備蓄と補填方法
3.情報・通信...連絡体制の整備.連絡障害への対応
4.外部事業者...既存使用量のチェック、物品の補填方法
5.財務...収入減への対応
 さすがに午前中よりも面白く(小山さんのキャラも結構良かった)、興味ある話でした。ただ、どうしても言葉の端々に本来こういうシステム作りをしなければならないであろう行政に対しての憤りや不満、と言うものを感じましたね。「災害が起こるとまず行政から保健婦が出て来るんだけど、保健婦ってそんなに暇なん?」とか言われてました。やはり行政への働きかけについては苦労されているようです。これは何処の介護事業所も変わらないと思いますけどね。介護は施設や法人だけで成り立つものでは無いことは分かってますが、更に地域やボランティアなどの重要性は感じました。

 最後に。ここまで面白い講演は久しぶりでした。今回参加しなかった方々は結構損したのかな、とも思う。

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posted by y-burn at 00:38| 鹿児島 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 講演会・研修 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
詳しい報告で助かります。

別件:
介護とものづくり
の貴記事に
今日学生達とコメントさせていただいたのですが
13人からあとは
コメントできないようでした。
何のため。
(今日は17人出席でした)

そこで
私も
別記事からお礼と経過報告にコメントした次第です。
Posted by 古瀬 徹 at 2011年06月17日 12:47
ミスプリ

「何のため」→「念のため」
失礼しました。

PS もとになった授業の方の記事は
拙ブログ「現代社会と福祉」
B0391 です。
Posted by 古瀬 at 2011年06月17日 12:50
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